給与所得や控除に関して、しっかりと理解している方は少ないのではないでしょうか。全体の所得表を見て、いくらもらえているかを見て終わりの方も多いと思います。今回は、給与所得に関わる給与所得控除やその計算方法、源泉徴収税額表などについてご紹介します。
給与所得控除とは

給与所得控除とは、簡単に言えば給与所得の金額を出すために必要な、サラリーマンの必要経費の金額のようなものです。
そもそも給与所得とは、会社から従業員に支払われる給与や賞与のことです。給与所得の金額を出すためには基本給の他に、非課税分である通勤手当や職務手当、残業手当、住宅手当などの様々な手当も含まれています。
給与所得の収入の支払いには現金はもちろんですが、商品の譲受けや安価での土地のレンタルなどの現物支給分についても、給与所得に含まれますので注意が必要です。
その現金や現物の給与収入から給与所得控除を引いたものが、給与所得になります。
『給与所得控除の意義』
給与所得控除の意義としては2つ理由があります。
一つ目は、仕事にかかる経費です。仕事のために購入した備品や打ち合わせに必要な費用、移動時の交通費など仕事に関する支出であれば経費として認められます。
実際に必要経費を明確に計算しようとすると、どこまでが必要経費であるのかの線引きが非常に難しく、正しく算出するのは不可能です。そのために、経費として給与収入に応じた一定額を引くことで税金の公平性を保っています。
二つ目は、他の所得との負担調整です。実際に給与所得とは不安定であるところもあり、給与所得者の所得税の負担を抑えるために給与所得控除を設けています。
また、給与所得者の増加傾向とともに、個人の経費を全てチェックするのはとても難しくなっていますので、一律の基準を設けることで公平性を保ちながら、個人経費のチェックの手間を省いています。
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給与所得の源泉徴収税額表
給与所得の源泉徴収税額を出すために必要なのが源泉徴収税額表です。源泉徴収税額表は給与の支払い方に応じて、月額表、日額表、賞与の3つの増額表があります。
源泉徴収税額表の見方については様々なサイトで確認することができます。
『給与所得控除と特定支出控除』
給与所得控除は、給与収入によって一定額控除されるものですが、実際には給与所得控除額以上に接待費用や研修費用が必要ななることもあります。
一定金額を超えた場合には、確定申告時に給与所得控除後の所得金額より、超過分が共助できる制度があります。対象になるのは通勤費や転居費、研修費、接待交際費などがそれに当たります。その制度を特定支出控除と呼び、控除額は年収が1500万円以下の方は給与所得控除の半分となり、年収が1500万円を超える方は125万円となっています。
特定支出控除を受けるためには確定申告時に、特定支出に関する明細などの書類の添付が必要になります。
給与所得の計算表
つまり、給与所得の計算方法は給与所得=給与収入—給与所得控除—特定支出控除となっています、そこで算出された給与所得から、生命保険控除や扶養控除、基礎控除などの様々な控除を引いたものが課税対象の所得となります。
給与所得控除額は収入に応じて税利率が決まっています。
収入が65万円未満の場合は、給与所得控除は65万円となっています。
収入が65〜180万円以下の場合は、給与所得控除は収入金額×40%となっています。
収入が180〜360万円以下の場合は、給与所得控除は収入金額×30%+18万円となっています。
収入が360〜660万円以下の場合は、給与所得控除は収入金額×20%+54万円となっています。
収入が660〜1000万円以下の場合は、給与所得控除は収入金額×10%+120万円となっています。
収入が1000〜1500万円以下の場合は、給与所得控除は収入金額×5%+180万円となっています。
収入が1500万円〜の場合は、給与所得控除は245万円となっています。
例えば、年収が100万円の方は100万円×40%=40万円、年収が300万円の方は300万円×30%+18万円=108万円、年収が1000万円の方は1000万円×10%+120万円=220万円が給与所得控除の額となります。
給与所得や給与所得控除の計算票は様々なサイトや税務署のホームページで確認することができます。収入金額と控除額の金額については毎年変更される場合がありますので、今年の表をご確認したい方は税務署のホームページよりご確認ください。
いかがでしたでしょうか。給与所得について理解を深めていただければ幸いです。実際に給与所得控除について詳しく知ったから何か利益があるというわけではありませんが、実際にご自身の給与所得がどのように計算されていて、それが正しいのかをチェックすることはできます。機会があれば、ご自身が受けられている控除額を計算してみてはいかがでしょうか。
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